技術・用語

DICOMとは

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コミュニケーション手段

人はお互いの意思の疎通を行う場合、音声、文字を含め多くは言葉を使用します。

家庭や職場など身近なところでは、言葉によるコミュニケーションでほとんど問題なく意思疎通ができるでしょう。ところが、業界や出身が異なる方との会話であったりすると、使用する単語、その言葉の持つ意味が異なり、場合によってはうまくコミュニケーションがとれないこともあるかと思います。さらには、外国の方とコミュニケーションをとるとなると、言葉が違うので、そもそも意思の疎通が図れないということもあります。

一方、コンピューターの世界では、インターネットでWebを観たり、メールを送受信したりという部分では、プロトコルという形で規定があるため、それに則ったコミュニケーションを図ることで、正確なやり取りが可能です。

 

 

Male doctor examining ultrasound and smiling医用画像の取り扱い

院内で使用される様々な医用画像関連機器ですが、それぞれは単独で使用されることもある中、多くは他の機器やサーバー等とつながり、お互いにデータをやり取りしながら運用されています。

80年代前半までは、CTやMRIといった医用画像関連機器はメーカーごとや機種ごとの独自の通信方式をとっていました。これらは汎用性に欠け、メーカーが異なると言語が異なってコミュニケーションが図れないように、システムの運用、拡張の面からも大きな制限となっていました。

 

DICOMの誕生

そこで、米国放射線学会(ACR: American College of Radiology )と北米電子工業会(NEMA: National Electrical Manufacturers Association)は協力して検討のための委員会を立ち上げ、1985年にACR/NEMA 300, version 1.0としてリリースされました。この時のタイトルがDigital Imaging and Communicationsであり、これにin Medicineを付けた形で、1993年に第3版が出て、Digital Imaging and Communications in Medicine の頭文字を合わせDICOMと呼ばれるようになりました。

 

画像フォーマットと通信規格

Man having an ultrasound

DICOMでは画像のフォーマットと機器間での通信プロトコルの両方について規定しています。機器間の通信プロトコルを規定することで、診断装置で取り込んだ画像を医用画像を管理するサーバーシステムに転送および登録ができます。また、すでに取り込んだ画像をコンピューターで見るためにサーバーからデータを引き出すのも、この規定されたプロトコルによって行われます。

また、それら画像の検索、画像フォーマットもDICOMで規定されているため、DICOMビュワーと呼ばれるソフトウェアにて、サーバーシステムに登録された画像データを、指定された条件で抽出、ソフトウェアに転送して、表示することができます。

 

DICOMの持つ付加情報

DICOMには付加情報として、どういった装置からの画像なのか、撮影した技師さんは誰か、どの患者さんのデータかといった基本的なことから、診断のために必要な画像から実際のサイズを求める情報など含めて様々な情報がDICOMヘッダーとして付加されます。ぞれぞれの機器がどのような付加情報を書き出すのか、読み取るのかなどを規定したものがDICOMのConformance Statementと呼ばれるものです。

 

様々な使われ方

4.1.1医療現場では、レントゲンフィルムや印刷した超音波診断装置の画像など、デジタルデータでない画像情報も多く存在します。これらは、DICOMに対応したイメージスキャナーにより、デジタルデータに変換され、DICOMフォーマットで保存することができます。逆にDICOM画像をプリンター出力するためにDICOM対応したプリンターも存在します。

日本ではまだメジャーではありませんが、セカンドオピニオンを受けるために、診断画像等を他の病院や医師に渡すことがあります。この場合も、CDなどのディスクに規定に従ったフォーマットで書き出すことで、受取先ではそのCDを読み込むことができ、画像とともに必要な情報も読み込めます。このように、DICOM対応機器は、画像診断装置だけでなく、様々な機器が対応しています。

 

まとめ

医用画像の分野、特に放射線を中心とした分野ではDICOM対応が標準となっています。また、放射線に限らず、内視鏡など他の医用画像の分野でもDICOMが使われ始めています。