ティアックは、1953年の創業以来"記録と再生"における最高水準の技術を追求してきました。創業当時から培ったその技術を活かした製品を医療現場へ提供して約30年が経ち、これまで累計5万台を超える医用画像製品を医療の現場へ提供しています。
ここ数年、医療技術の発展・高度化と共に医療現場で求められる画像技術は、大きく変わってきました。
たとえば、消化器内視鏡は、主に胃や大腸など 消化管内部の検査目的で使用されますが、モニターへ映し出された映像の気になる部分を静止画として記録するのが一般的です。しかしながら、技術が進んだ近年では消化器内視鏡の役割は検査のみならず、患部の治療(切除)にも使用されるようになり、静止画のほか処置全体を記録できる動画記録のニーズが高まってきています。
また、外科分野においても、低侵襲の内視鏡下 手術が普及してきています。腹部を大きく切り開く開腹手術に比べ、内視鏡下手術は数センチ程の傷口で済むため、患者への負担を大幅に軽減することが可能です。
胃や大腸などの内視鏡下手術は実施件数、比率ともに年々増えており、手術部位を映し出す内視鏡の映像もHDや3Dといった新しい技術を取り入れ発展してきました。現在では内視鏡下手術を行うロボットが実際の医療現場で使われています。このように医療現場、特に手術において内視鏡のようなカメラが使用される頻度が高くなり、カメラが映し出す手術過程を動画として記録するニーズが増えてきています。

記録技術を医用へ転用

ティアックは1953年に創業し、録音機や再生機などの電気音響機器の製造販売を開始しました。その後、テープレコーダや磁気テープ記録装置、フロッピーディスクドライブなど、様々な製品を手掛け世に送り出してきました。

1983年
画像記録再生機として初めてLV-100が開発されました。
当時のVTRと比べ繰り返し再生しても画質の劣化の少ない画期的な製品でした。
1986年
"絵の出るレコード"というキャッチコピーで売り出されていたレーザーディスク向けLV-200Aは、直径30cmのディスクに片面最長で30分の動画記録と最大で54,000枚の静止画を記録できる装置でした。
この製品が超音波画像ファイリングシステムとして使用され、ティアックは医用画像製品市場へと参入しました。
LVシリーズ
1993年
現在も販売されているMVシリーズの第1世代である白黒静止画レコーダーMV-200の製造が開始されました。
超音波診断装置向けに開発され、当時最先端であったJPEG画像圧縮に対応し、必要な画像のみをプリントアウトする機能により超音波検査の効率化に貢献しました。
第1世代MVシリーズ「MV-200」
1995年
MOディスクを採用した第2世代MVシリーズ、コンポジット対応静止画レコーダーMV-50が開発されました。
PCでの再生を可能にし、MVで記録した超音波診断装置の画像を検査後にPCで再生することによって、超音波検査の効率化を実現しました。
1996年
初の内視鏡向けに開発された静止画レコーダーMV-55Mを発売しました。
フィルムカメラやビデオプリンターを使用していた当時の内視鏡にもMVが使用され始め、内視鏡システムのデジタル化と低コスト化に貢献しました。
初めて内視鏡向けに開発された機種「MV-55M」
2001年
640MBのMOディスクを記録メディアに採用し、記録容量を拡充したMVシリーズMV-150/180の販売が開始され、この頃から内視鏡などの各社医療用画像診断装置へ個別対応が進みました。
2003年
初めてDVD-RAMを記録メディアとして採用した動画レコーダーDV-700を発売。
この機種を境にネットワーク機能がレコーダーに搭載され始めました。
2005年
初めてHD記録に対応したMVシリーズの第3世代MV-H10/S10/D10の3機種をリリース。
DVD-RAMへの静止画記録、ネットワーク転送機能のほか、シャッターを切るタイミングの同期など内視鏡システムとの連携を強化し、多くの内視鏡システムに採用される結果となりました。
第3世代MVシリーズ「MV-D10/H10/S10」
2009年
記録メディアにSDカードを採用し、さらにハードディスクを内蔵したモデルMV-10XS/10XH/10XDをリリース。
DICOM通信への対応も開始しました。
2012年・2013年
第4世代MVシリーズMV-3CS(2012年)/3CH(2013年)をリリース。
ネットワーク転送機能や静止画記録に加え、Motion-JPEGとMPEG-2による動画記録にも対応した他、リモコンのデザインを一新した機種となりました。
第4世代MVシリーズ「MV-3CS/3CH」
2014年
入力映像の自動認識やフロントパネルのLCD搭載など新しい技術を取り入れた最新のメディカルビデオレコーダーUR-4MDの発売を開始。
本機種は、これまで同様日本での販売のほか、初の海外向けモデルとなっており、米国や欧州の医療規格に対応しています。これまでのMVシリーズと異なる点は、記録する映像を手術用途と位置付けている点であります。MVシリーズは前述の通り、超音波診断装置の画像記録に始まり近年は消化器内視鏡システムとの親和性向上に注力してきました。しかし、昨今の手術現場における画像技術のニーズに応えるため、UR-4MDでは時に10時間を超える手術の全てを映像として残すために、外付けハードディスクへの記録対応など、より長時間で高精細の動画記録に重きをおいた仕様としました。
メディカルビデオレコーダ「UR-4MD」
2017年
ティアックの医用画像製品の代表機種であるMVシリーズを一新、MV-7000S/Hの販売を開始。内視鏡検査中に過去に記録した内視鏡検査画像と今撮影した画像をモニター上で比較し、患部の異常な部位などの変化を確認することを可能にしました。その他製品全体のデザインを一新。記録・再生の操作感をより分かりやすく、そして記録メディアの移動などより簡便な検査作業の運用をサポートします。
内視鏡イメージレコーダ「MV-7000S/MV-7000H」
2018年
手術映像の記録に留まらず、大容量手術映像の保存管理から学会発表などに使用するための編集までを可能にした手術映像記録システム『SURGE ONE v2』を発売。これまで管理が行き届いていなかった記録した後の手術動画データの管理を一手に担う製品です。
手術映像記録システム「SURGE ONE v2」
2019年
タッチパネルを搭載し、操作性を大幅に向上したMVシリーズ、『MV-1』を発売。内視鏡とのシャッター連動などこれまで培った技術はそのままに、ライブストリーミングや画像マーキング機能、タッチスクリーン、USB3.0といったこれまでになかった機能・仕様を取り入れています。
内視鏡イメージレコーダ「MV-1」
2020年
手術用手袋を着用したまま操作できる抵抗膜方式タッチスクリーンを採用し、より指先で操作しやすい設計となった、メディカルビデオレコーダー『UR-X』を発売。1080p/60fpsでの動画記録を実現し、5インチタッチスクリーンにFull HD映像を映し出し、入力映像および録画中の映像を確認することができます。
メディカルビデオレコーダー「UR-X」
2022年
ティアックでは初となる4K解像度に対応したメディカルビデオレコーダー『UR-NEXT 4K』を発売。最大4096x2160の高解像度映像記録に加え3D映像や2チャンネル映像同時記録機能の搭載も実現しました。フロントディスプレイには7インチの大型LCDタッチパネルを採用し、フロントパネルにはジョグダイヤルを採用しスピーディーな操作性を実現しました。
メディカルビデオレコーダー「UR-NEXT 4K」
LVシリーズ 第1世代MVシリーズ「MV-200」 初めて内視鏡向けに開発された機種「MV-55M」 第3世代MVシリーズ「MV-D10/H10/S10」 第4世代MVシリーズ「MV-3CS/3CH」 メディカルビデオレコーダ「UR-4MD」 手術映像記録システム「SURGE ONE v2」 内視鏡イメージレコーダ「MV-1」 メディカルビデオレコーダー「UR-X」 メディカルビデオレコーダー「UR-NEXT 4K」

家庭用製品との違い
(メディカルビデオレコーダーUR-4MDの場合)

現状、多くの医療現場の手術など医療処置の動画を記録する際に、医療用途向けに開発されたものではなく、家庭用などの動画レコーダーが使用されている現場もあります。
民生用として販売されている動画レコーダーとメディカルビデオレコーダーUR-4MDには、いくつかの機能的な違いがあります。

❶ 操作性
手術の現場では常に数名の医師や看護師などが手術室を出入りし、手術によって当然担当者も変わります。そのような状況を想定し、UR-4MDでは操作マニュアルを読まなくても誰でも記録ができる様にフロント部分の操作パネルのボタンを極力減らし、一目で直観的な操作が可能なデザインを採用しています。その他、接続された映像端子と映像信号をそれぞれ自動で認識し、記録可能な状態まで自動でセットアップするため、ユーザーが映像や解像度の設定作業をする必要がありません。

❷ 高解像度3.5インチ液晶ディスプレイ搭載
映像の録り違いや録り逃しが許されない手術の記録において、常にレコーダーがどの映像を認識しているのかを確認することは大変重要です。UR-4MDでは、誰でも一目でどの映像が記録できているかを確認できるようにフロントパネルに高解像度3.5インチ液晶ディスプレイを搭載しています。

❸ 内蔵HDD(500GB)搭載
500GBのHDDを内蔵し、2つの外部のUSB記録メディアに同時に記録できる仕様になっています。これによって、万が一片方のUSB記録メディアに不具合が生じても内蔵HDDともう一方のUSB記録メディアには映像データが残る仕様となっています。

❹ 自動シャットダウン機能
録画中に不意に電源が切れた際には、それまで記録した映像データのファイルを安全にクローズし保存するので、記録した映像データを失われません。

❺ 患者情報の付加機能
医療施設では、患者IDを1人1人の患者に付与し患者情報の管理を行っています。UR-4MDでは患者IDのほか、患者名、生年月日、性別、施設名など複数の情報を映像データに付加することができます。これにより記録後、システム内の膨大な記録データの中から必要な患者のデータだけを取り出すことが可能です。

直感的に操作可能なフロントパネル

UR-4MD製品ページ

手術映像記録とファイリング

手術映像の記録において、施設側の悩みの1つがその保管方法です。処置の過程をDVDレコーダーで記録していた施設では、映像を書き込んだDVDの表面に直接患者の情報を記載し、保管庫の棚の中にしまっていました。DVDなので1枚1枚はさほど厚くはありませんがその内、棚の引き出しがいっぱいになってしまいます。またDVDが増えれば増えるほど、後々見たいデータを見つけるのに苦労するのは目に見えています。その問題に私たちティアックが提案するのが、手術映像記録システムSURGE ONE v2です。
SURGE ONE v2を施設内のPC端末にインストールすることで、同じ施設のNAS(サーバー)内にあるUR-4MDで記録した映像データを一元管理することが可能になります。

手術動画記録とファイリング

主な特長は
検索機能:膨大なデータの中から患者情報や手術実施日などで見たい映像を瞬時に表示する。
再生機能:検索した映像を確認する。
編集機能:学会での発表など手術の重要な部分のみを切り取る。

他にも、記録されてから長期間保存されているデータの容量を小さくしてサーバーの容量を節約することが可能です。SURGE ONE v2を導入することによって、院内のどこにいてもPCを通じて見たい時に手術動画を確認することができます。病院備え付けの設備にインストールすることができ、新たにPCやモニターなどの設備を設ける必要がありません。動画記録の需要が高まるにつれ、SURGE ONE v2のような記録した画像のファイリングシステムの要望も多くなりました。
ティアックは、動画・静止画の記録から管理まで一貫してサポートすることで医療現場へさらなる利便性を提供していきます。

SURGE ONE製品ページ

内視鏡イメージレコーダー MV-1

内視鏡イメージレコーダーMV-1は、これまで消化器内視鏡との連携ノウハウを持つMVシリーズに、新たに「タッチパネル」や「HD/SDリアルタイムコンバート機能」などの機能を追加しました。消化器の検査中に患部を撮影するための静止画像記録はもちろん、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)など、検査途中で行う処置の過程を記録したいというニーズにお応えするため、1080p 60fps Full HDによる動画記録にも対応しています。MV-1単体での操作以外にもネットワーク機能を活用することで、院内の画像共有を簡易的におこなうだけでなく、院内PC上の画像ファイリングソフトと連携することで、記録した画像を迅速にファイリングソフトに取り込み、用途に応じた表示形式を選択することができます。検査環境の整備、検査画像の記録、患者さんへのよりスムーズな説明などをより円滑に進めるための機能を搭載しています。

内視鏡イメージレコーダー MV-1

MV-1製品ページ

ティアックのこれまでの医用画像製品の経験と、これまで培った技術と知識を応用した最新の製品について紹介しました。
現在も様々なメーカーが新たな映像機器の医療現場への提供を目指し開発しています。
ティアックはこれからも、医療現場の映像機器の進化に合わせ、最良の記録デバイスとより便利な運用を目指した画像システムの開発に邁進していきます。